何のことやら。例によって呟いたことを基に益体もないメモ。
「NDAに拘わりすぎる」法務のビジネスパーソンとしての適性を疑問視する言説に接した*1。そのような指摘をする側の「お気持ち」は一応理解できなくはない。とはいえ、想定外の個所に漏れたら大きく利益が失われて困るような情報の授受に際してはNDAに拘るのは当然といえよう。企業内で法務以外が拘らないのであればなおのこと。
価値の高い情報については、情報の授受それ自体がリスクであり、そのリスクに対処する契約がNDAだという認識がないから、斯様な言説に繋がるのはなかろうか。もちろん情報の価値は様々なので、常にNDAに拘るべきというような話ではない。状況に応じて適切に拘り方を決めるべきというだけのことと考える。個人的にはNDAに好きとか嫌いは特にないつもりだが、NDA時点で押さえるべきところを抑えていないとリカバリー不能になる可能性があるので、状況に応じて拘るべきと判断したら、事業部門側にどういわれようとも拘らないと企業内法務担当者としての存在価値が疑われかねないとすら思う。
拘るべきかどうかのポイントの判断は、そのNDAの下でいかなる情報が授受されて、その情報の授受でどういうリスクが生じ得るか、情報について不適切な扱いがなされた場合にいかなる不具合が生じるか、から考えることになろう。その意味で、NDAの授受がPJ単位などのように、いかなる情報が授受されるかの予測可能性が高いものは、相対的にそのような切り分けが容易なのではないか。他方で、締結の手間を省くために、広範な情報のやり取りについて包括的な形で締結しようとすると、その下でいかなる情報がやり取りされ、それによりいかなるリスクが生じ得るかが見えづらくなる*2。そういう場合には、リスク回避的に保守的にみる方が安全、という発想に傾いて、内容に拘る形の対応をしたとしても、必ずしも不適切とは言い難いのではなかろうか。
そうはいっても、諸々の検討の結果として、迅速な合意形成を優先し、前述の意味での詰めが不十分な形で締結することも、その当否は別にして、あり得ない話ではないだろう。その場合でも、そのような形で契約を締結することによるリスクを、企業として認識し認容する意思決定をしていないと、単に漫然と締結しただけとの批判を免れず、経営判断の原則の保護も得られにくくなるのではなかろうか。そういう場合には、意思決定が望ましいものになるようにサポートすることが企業内法務としては求められるものと考える。