例によって、目を通した記事の感想を、呟いたことを基に箇条書きでメモ。
- 会社法判例速報の破産管財人による株主提案権・株主総会議決権の行使は、そうなってしかるべきと思う決定要旨。解説でのその射程についての検討も有用と感じる。
労働判例速報の定年後再雇用後の労働条件不利益変更を拒否したことを理由とする雇止めは、解説での、労契法19条の「更新」の意義について、効果から逆算した検討が興味深い。
独禁法事例速報の純正品インクカートリッジの仕様変更の件(詳細略)は、解説での市場構造の指摘がまず興味深い。全世界的にみても3社寡占というのは、なかなかないと思うが、ペーパーレス化との関係で、今から市場参入するだけの魅力がないということがないのか気になった。また被告側の訴訟戦略についての指摘もなるほど思ったところ。
知財判例速報の幼児用椅子の商品等表示該当性・著作物該当性は、別件判決との差異が興味深く感じた。
租税判例速報の外国子会社合算税制における外国の法律関係の「信託」該当性は、まあ、そうなのかなという感じ。税務は常に苦手。 - 特集は所有者不明土地法制の現状と課題。
冒頭の座談会は、R3年改正の理論的な意義、R3/H30改正や建物についての規律も含めた巨視的な視点での議論が読んでいて面白かった。他方で能登地震での実務の話は現場の大変さを感じさせた。また、少子高齢化の中での今後の展望は興味深く感じた。とはいえ、少子高齢化で土地への需要が減るという指摘にはやや疑問が残った。外国からの購入とかが視野に入っていないのではないか。その場合所有者は判明しても対応を強制できない等の問題が別途生じるのではないかという気がするのだが...。
相続登記の申請義務化は、司法書士さんの実務感覚を踏まえたコメントが興味深い。
令和3年民法改正後の現状と課題は、現状の課題について、既存の考え方を駆使して対応策を探ろうとしているのが興味深かった。案がないところは素直にその旨書いているのも好感が持てる。「思うに」と出てきたが、確かにこういう時に使う表現だよなとも思った。
相続土地国庫帰属制度の現状と課題—新たな土地ガバナンスの可能性は、まあ、そういう感じになるのかなと思いながら読む。
特集は、この分野の現状と課題の鳥瞰としてはよかったのではなかろうか。 - 地方創生に向けた官民連携の法実務の連載の初回は、自治体特有の制度(1)—仮契約・予算単年度主義等。お役所のプロトコルというものを知っておくことは有用そうなので今後にも期待。
- 家事事件の現状と展望は、ここ20年の立法概観が興味深く感じた。最後に指摘のある点が重要だが、そこの手当てなしに立法が進んでいる気がして、門外漢ながら心配。
- 広報と法務のメディア総論は、マスメディア側の行動原理の話は興味深い。記者クラブ批判は理解する反面で、昨今の某メディアの長時間会見で露呈した「質の低い」メディアとの関係では、記者クラブの効用が、逆説的ではあるが、示された感があるので、直ちに与してよいのかは判断に迷う。不祥事があったらいかなる制裁をも甘受しなければならないという話ではないはずなので。
- 時論
法情報オープンデータの進展—法務省「民事判決情報データベース化検討会報告書」をめぐって、は報告書のサマリーとその意義等の検討。仮名化とかどこまできちんとできるのか、仮名化の対象とならない事項から結局当事者名などが推認されないのか、というあたりはどうなのか気になる。ネットに一旦挙げた情報の削除の難しさを考えると、本当にネットに公開可能とするのが良いのか、逆にネットに残させるのを目的で訴訟を提起するケースなど制度の悪用(破産者マップ事件も脳裏をよぎるところ)による弊害も含めた検討が必要なのではなかろうか。データベース化することによる利点は理解するけどそういうものに食わせるために裁判をする当事者はいないと思うし。その種の議論は優先順位を間違えていないかという気がする。反面で、仮名化されても公開が嫌ならということであれば、仲裁とかの利用を促進する方向に向かうのかもしれない。
事業者の合理的配慮義務については、リソースが足りるのか、というのがまず疑問。やらないといけないといってもないものはないので。べき論だけで押し切れるほど簡単な話には見えないのだが。 - 海外法律情報。
スウェーデンの児童や青少年の出国禁止を拡大する法改正は、思い切った法案に見えるが、それが必要な状況があるということなのだろう。
タイの同性婚を認める民商法典改正法の施行は、既に認めているものと勝手に思っていたので、やや意外。 - 判例詳解の宗教団体への献金勧誘行為の違法性は、不起訴合意の有効性と献金行為の違法性の検討が興味深い。「というのは、こうである」等個性的と思われる表現も印象的。
- 時の判例。
社団たる医療法人の社員が一般社団法人及び一般財団法人に関する法律37条2項の類推適用により裁判所の許可を得て社員総会を招集することの可否は、つじつま合わせをするとそうなるんだろうけど、監督官庁の動きが鈍いときとかに実効的な権利救済に欠けるところが生じないかが気になった。
嫡出でない子は、生物学的な女性に自己の精子で当該子を懐胎させた者に対し、その者の法令の規定の適用の前提となる性別にかかわらず、認知を求めることができるかは、子の立場からすればそうなるべきという判断と感じた。
最二小判令和5・3・24(詳細略)は、「遺棄」の意義は考えたことがなかったが、規範はあいまいさがある(判例の蓄積を待つしかないのだろう)ものの、納得できるものと感じた。 - 判例研究。
経済法のステマ告示に基づく措置命令(詳細略)の件は、自由診療について問題行為を行ったことや措置命令のもたらす効果についての分析が興味深かった。ステマ告示の説明から入るのも丁寧で良いと感じた。
商事の譲渡制限株式価格決定における非流動性ディスカウントの可否は、評釈での議論は正直よくわからなかった。
商事の2種類の金融商品に関して適合性原則違反の成否が分かれた事案は、評釈でも内部基準と適合性原則との関係性についての指摘になるほどと思った。
労働の技能実習監理団体の指導員に対する事業場外労働みなし制の適用は、評釈最後で指摘されているように立法で何とかするのが良いのかもしれないと感じた。予測可能性が低いのは適切とはいいがたいし。
国際線の客室乗務員の雇止めと通則法12条によるオランダ法の適用は、評釈で一つの紛争で単位法律関係ごとに準拠法を決定しても良いのではないかという指摘があるが、そうなると当事者(労働紛争では特に労働者側)の予測可能性が害されるのではないかという気がするがどうだろうか。
租税の不相当に高額な役員給与を計算する際に加重計算を用いた事例は、事実と判旨の紹介のところで定性的な話しかなく、金額規模がわからず、よくわからないと思ったが、評釈でそのあたりが書かれていて、あるところにはあるんだなと思った(汗
渉外の日本国内の不動産の遺産分割申立てについて緊急管轄を認めた事例は、こういう事案で緊急管轄が認められたのはやや驚いた。評釈での事実認定に関する疑問点の指摘には納得。
刑事の訴因変更の可否は、決定文の読み方の検討が、難しく感じた。
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