一通り目を通したので感想をメモ。すごく難しいと感じる部分もあったが、その分読みごたえもあった。
高校生(今回は一部大学生が含まれていたが)ーといっても、開成等の超進学校の生徒であり、知的レベルが相当高く、質疑の内容でも驚かされるのだがー相手に泰斗という表現がふさわしい民法学者の先生方が講義をしたものを、質疑も含めてまとめたシリーズの6巻目*1。
本書は3部構成。
第1部では憲法と民法の関係をどのように考えるべきかという憲法・民法関係論について、これまでの議論の整理と、その中で議論を活性化させた著者の議論の説明がなされる。それなりに多数の考え方が示されていることそれ自体にやや驚く。それぞれの考え方について、パワポ(と思われる)のスライドで図式的に示されており、それぞれの考え方の差異が見えやすくなっているのも良い。個人的には、著者のいう憲法基底的重層論や高橋和之先生が唱える並立論あたりは、違和感が少なく感じた。
第2部では、第1部の議論の一つの表れとして、民法での公序良俗論について、これまでの議論も踏まえた解説がなされる。類型論が個人的には興味深い。不勉強で類型論についてあまり認識していなかったので。第1部の議論の抽象度が高く、議論についていきづらいところがあったものの*2、より具体的な内容を伴った解説があることで、第1部の理解も深まる気がした(実際にこちらの理解が深まったどうかはさておき)。
第3部は聴衆との質疑応答で、若い聴衆との鋭い質疑応答が興味深い。そこに真摯に対応しようとする著者や大村先生の様子も学問的誠実さの一端を見るようで印象深い。
大学等での民法の授業であまり触れられないような*3、そこでの内容の基礎となるような話が語られていて、基礎的であるが故におそらく実務であまり考えることのない内容だったこともあり、130頁余とコンパクトな分量の割には、このシリーズ随一の歯ごたえを感じる内容で、読みごたえがあった。こちらが一通り目を通すだけでもそれなりに時間がかかってしまった。
