「99問」を巡る何だか

何だかよくわからんですが、#LegalAC 参加エントリの上、#萌渋スペース のためのエントリです。お付き合いいただく、くまった先生と経文緯武先輩にはあらかじめお礼を申し上げる次第。

今年は、こちらが首謀者*1ということもあり、表の最初の登板ということになる*2

 

こちらにとっての、ここで書ける範囲での*3、2024年最大のニュースは、転職と並んで99問の刊行になろう。ブログとtwitterでうだうだしているだけで共著に名を連ねるだけでも僥倖というべきところ、その2冊目迄出たのだからそうなって然るべきではないかと思う。

 

99問発刊に際しては、#萌渋スペースでお世話になっていることもあり、経文緯武先輩やくまった先生にもお送りさせていただいたわけだが、今回、遅ればせながら、#萌渋スペースで、99問について、お二方のお話をお伺いすることになった。本エントリはその際のこちらの準備としての若干のコメント等をさせていただければと思う。

 

事前に経文緯武先輩から、99問について、詳細なコメントを頂いた*4。スペースではその一部について、お話を頂く予定である*5。以下、それらについて、こちらの反応をいくつか、順不同で、箇条書きであらかじめ記させていただく。まあ、要するにぐぅの音も出ないわけだが*6*7

  • 199問でご指摘のあった統一感の不足が解消されていたのは、今回は、京野先生ご自身が筆を取られた部分がなく、無双御大がすべて書かれて、こちらはその内容にコメントを付し、無双御大が加筆修正するという立ち位置に徹したことによるものと思われる*8。こちらは、内容的・能力的にそれ以上のことができなかったのだが。
  • そもそも99問がリサーチ本なのか、という問いについては、「リサーチ本」とは何か、という問題への回答次第かもしれないが、特に判例の検索等については、無双御大の達人の技の細かいところまで言語化できていないので、なぜそのような指摘が出るのかというところは十分推測できる気がする。この辺りはこちらの突っ込み不足というところも多分にあるものと考える*9
  • 「適切な問い」についての記載ぶりの揺れについては、こちらのチェックが個々の記事単位に重点を置きすぎ、書籍全体でという視点が不足していたことに起因するのではないかと考える。木を見て森を見ず、という感じもする。「(裁)判例」の意味の初出が遅かったのも同様の原因によるものかもしれない。
  • 書誌データの利用についても、こちらはあまり明確に意識できていなかった。普段如何に自分でリサーチをしていないかということが示されるのだが*10
  • リサーチ自体について、自分でネット上で調べるものに偏り過ぎて、紙媒体のリサーチや他人に訊くというあたりの手薄さがあるのもご指摘のとおり*11。そういう内容に思い当たらなかったあたりでこちらの突っ込み不足が否めない気がする。
  • 実務書の見極めについては、誰が読むか、特に読み手の立ち位置やレベルによって答えが変わり得る話なので、実は書くのが難しいと感じた。他方で、立法担当者の解説の重要性や交通事故事件における赤い本の重要性はもっと強調しても良かったのかもしれない。
  • 最後のレポートの部分だけ視点が上がっていないかという点は、おっしゃる通り、というところ。こちらは意識できてなかった。

 

・・・とまあ、萌渋スペース用だけであれば、やや短いが、ここまでで収めても、良いのではないかという気がするが、#LegalAC 企画ということもあるので、余談のようなことも少し書いてみようかと。

 

経文緯武先輩からは、203問に始まるシリーズへの無双御大やこちらの関与過程も踏まえつつ、今後はそのような「わらしべ長者」的なプロセスがあり得るのかという点について、特に昨今のtwitterの状況を考えて、ご指摘も頂いている。

 

確かに、こちらと同じような過程をたどるのは難しいかもしれないと感じる。好むと好まざるとに拘わらず、紙の出版の減少傾向は止まらないだろうし、そうなると出版の機械それ自体が少なくなるだろうから。他方で、ネット系での様々な形での情報発信は盛んになっているし、企業の「中の人」視点での情報発信への需要は減ることはないのではないか。企業法務分野の先生でも、企業内からはどう見えるかについての「解像度」*12がどこまであるのかというと、心もとないところがあるのではないかと思うし*13、「一人法務」だったりすると「先達」からの情報があるのは好ましいだろう。それ以外でも他の企業の法務担当者が同じような業務をどのようにやっているかという情報があると望ましい場合があるのは言うまでもないだろう*14

 

供給側についても、自社の枠を超えたところで「他流試合」をすることで、自身の能力を伸ばしたり、「他流試合」の過程で得られたものを自社への業務に反映させることで、ご当人にとってメリットがあるということにも変わりはないのではないかと考える*15。企業内法務担当者の流動性が増しているところでは、そういう対外的に示しやすい実績を持っていることは、自分自身の「付加価値」を高めるうえでは、必ずしも悪い話ではないだろう。もちろん守秘義務の問題や、「副業」との兼ね合いの問題*16には対応する必要があるが、「副業」については緩和傾向もみられるので、そういうこともしやすくなったのではなかろうか。

そういう状況を前提にしたうえで、そういう話に繋がる手段というのも必要になる。かつてはtwitter経由でその手の話がみられたわけだが、それ以外の手段としては、今どきでは、たとえば、某katax氏の互助会やわかほうなどもあるわけで、そういう場を通じて、ということもあると思う*17。この企画もそういう一助になってくれると、個人的にはとても有意義なことだとは思うのだが...。

 

#LegalAC 企画、次は、たっしー@司法書士受験生(一回休み)さんです。よろしくお願いいたします。

 

追記)経文緯武先輩のエントリは

tokyo.way-nifty.com

と、もっと長いのは

note.com

*1:実は初めてそういう役回りをするのでありました。これまでは誰かをたきつけてやっていただくということをしていただけなので...。

*2:裏については、無双御大がハードルを上げるエントリ(ご本人の認識はさておき)を書いているものと思われるが、その点については、あまり気にしないことにする。

*3:書けないところではいろいろあったのも確か。

*4:別途公開される模様である。

*5:本エントリは例によって事前に準備している。

*6:なお、本エントリで記載するのはあくまでもdtk個人の感想であり、他の共著者お二方とは事前に調整などはしていないことを付言する。

*7:こちらから献呈させていただいたことでお二方のコメントに「手加減」などがあるとはあまり思えないことも付言しておく。いやこれでも手加減したんだ、とお二方からコメントが出たら困るのだが(滝汗)。

*8:こちらのそうしたスタンスは199問も99問も大きくは変えていないはず。

*9:それでもコラムでのリサーチレポートなどである程度のところは伝わるものと考える。この辺りは編集部の提案により後から追加されたものなのだが。

*10:今の立場だと自分の時間単価を考えると、自分でやってはいけないという話にもなるのだが...。現職では実際にそういう指摘を受けたこともある。

*11:こちらが記憶している限りでは、サイ太先生からも図書館のレファレンス機能の利用についての記載が欲しい旨のご指摘を頂いていた。

*12:その意味するところが何かについては議論がありそうだが、いったん脇に置く。

*13:明日のこちらの #裏legalAC でのエントリではこのあたりについての若干のコメントをする予定である。

*14:新卒で就職しようとする学生さんとかにとっても同様に有用だろう。

*15:業務内容面以外では自社の法務の宣伝になって、採用面での効果なども期待できるかもしれない。

*16:精を出しすぎて「どちらが本業なのか」という疑いをもたれるような場合もまま見られるところではあるが。

*17:当のkatax氏も本名であちこちで登壇されているのも見かける。