視野に入っていないのは

何のことやら。呟いたことを基に雑駁なメモ。

 

片仮名でロビイングとか政策形成法務とかいう用語が、最新の流行であるかのような物言いで喧伝されるのをみる。そうした機能を果たすことの重要性(その機能を十全に果たせるのが前提であるのは言うまでもないが)は否定まではしないが、殊更に今どきの流行り見たいな装いを持たせることについては疑念を覚える。

 

経験者の某先輩がよく言われることだが、業界団体経由で業界の意向を集約して規制の有り様に影響を及ぼすのは、規制業種では昔からあることで、そういう話の進め方があるのを理解していると、ああいう形で今更殊更に言挙げするのはどうなんだろうと疑問を覚える。あたかもこれまでなかったかのように言挙げされると、それは単にあなたの視野が狭いだけなのだが、ということを言いたくなる*1

 

技術的な規制については、その技術と実務での使われ方を踏まえた議論が必要なのは言うまでもないが、それに耐えられる人間が会社内だとどの部署にいるのか、企業内であれば法務以外の部署にいるのではないかという話もある*2

 

技術の今後の動向や標準化がある場合にはそちらの動向もグローバルなレベルで視野に入れていないと話がおかしくなる可能性もある*3。そのあたりをどこまで踏まえて、かつ、そうしたものにどこまで備えた上で偉そうにしているのか。現場での実務を直接しないであろう企業内法務や企業外の法務系統の専門職が、その辺りにどういう形で、現場での実務の足を引っ張らずに、関与できるかは、精査する必要があるのではなかろうか。

 

もちろん既存の条文解釈や新規に条文化するような場合のいわゆるドラフティングなどで法務の知見が有用なことはある*4。しかし、それは全体像の中でのごく一部だろう。そのことを弁えない議論は、何よりも論者の視野の狭さを示すことになるのではないかと感じる。

*1:直接言うに見合う何かが得られるとは思い難いので、あえて言うような面倒なことをせずに、そういうことを言っている手合いについて、こちらの中での評価を下げるだけで終わることがほとんどだが。

*2:渉外、という形で別機能にしてる事例を耳にしたこともある。法律も含めて様々なバックグラウンドの人間の混成チームでその辺りの業務にあたるのは、特に規制業種では、あり得る対応ではなかろうか。

*3:過去の経緯までしっかり認識して、となると、片手間でできるような話ではなくなるだろう。歴史の浅い業界ではそうでもないかもしれないが。

*4:企業内法務の機能という意味では、臨床法務、予防法務、や戦略法務(その意味はさておき)に比べて知名度は低い部分であるのは事実なので焦点を当てて紹介すること自体は不当な事ではないだろう。