一通り目を通したので感想をメモ。買おうかどうしようか悩んでいたら*1、近所の図書館に入ったので借りてみた。短いこともあり、この分野に関心があるなら目を通しておいて損はない一冊。
長年NY Timesで連邦最高裁を担当していた元ジャーナリストの方(今はYale Lawで講義をされているとのこと。)の手によるもので、米連邦最高裁の歴史と全体像の簡潔な要約、という感じになっている。「一冊でわかる A very short introduction」シリーズ*2の一冊ということもあって、本文が110頁余と短い*3ので、目を通すのにはそれほど時間はかからないのではないか。翻訳も変に読みにくくはないので。
アメリカ連邦最高裁が、政治に翻弄されながらここまで来たというのは、阿川先生の一連の著作*4などからも一定程度理解はしていたが、本書では2022年までの動きをとりあげており、前記の著作よりも新しい内容が含まれている*5。加えて、最高裁での事件処理の事務手順についても説明がなされていて、これはこれで興味深く感じられた。さらに、参考文献や読書案内も充実しているのは、(僭越ながら)入門書としてはあるべき姿になっていると感じた。
本書を読んでいてまず感じるのは、裁判官人事や事件の判決に至るプロセスの政治性ということではあるのだが、他方で、それがここまで可視化され、議論の対象となっているということにも改めて驚きを覚える。それだけ情報が公開され、見られている、見ているということの表れなのだから。本邦については、かの国ほど政治性はないというか、裁判所関係者が極力そうならないようにしているようにも見えるが、こちらのような特段の伝手のない人間にそう見えているだけに過ぎないのかもしれず、真相は藪の中というだけなのかもしれない。そう考えると、本邦についても「ジャーナリスト」の方々にも、もう少し頑張ってもらえないかと思わないでもない*6。
