わかりやすいマーケティング戦略〔第3版〕 (有斐閣アルマ) / 沼上 幹 (著)

一通り目を通したので感想をメモ。読みやすい良著だと思う。マーケティングについての最初の一冊として良い本なのではないかと感じた。

 

春ごろに目を通した本の改訂版。改訂迄の間に著者は一橋から早稲田に移られたようだ。今回の改訂で大きな点はプラットフォーマーについての言及が増えたことなど。事例についても新しめのものに差し替えられたようだ(ビール戦争のように事例を差し替えずに後日談を加筆したものもあるが)。改訂に際して50頁程度増量したが、読みやすさは引き続き維持されているので、通読は引き続き容易。特に予備知識がなくても事例を使った説明が分かり易いので、この分野のとっかかりとして読むのもよさそう。

 

今回読んでみて、改訂前のものに目を通してから一年も経っていないはずなのに、すっかり内容を忘れていたのに気づいた。こちらの加齢ゆえのことと思いたいが、その分新鮮な気持ちで読めた(はず)なので、悪いことばかりではないと思うことにする。ミクロの視点から始まり、徐々に視野を広げていく感じで論が進むのは、相変わらず分かり易く感じた。

 

個人的に印象に残ったことをいくつか順不同で箇条書きでメモしておく。

  • 事例については、最近のものでも、知らないものがそれなりにあった。こちらの生活習慣などの偏り故にnetflixのイメージサウンドとかが分からないのは仕方ないとしても、日清の「これ絶対うまいやつ」とかは、目にしていそうなのに知らなかった。日常のこちらの行動範囲内でも目にしているはずなのだが...。
  • 末尾に企業名の索引があるのは地味に便利な気がした。事例に出てくる企業名・商品名が記憶のフックになることはままあることなので、それに基づき記述を探すこともあるだろうし。
  • カメラと写真に興味があることもあって、「チェキ」の事例は特に興味深く感じた。インスタントカメラそれ自体にはさほど用事がないので、詳しく知らなかったが、流行り廃りの中での動き方・マーケティングの仕方の変遷は興味深く感じた。
  • 5 forcesが6 forcesになっていたのはやや驚いた。6つ目に選ばれたものについては、解説を見ると、納得するところではあったが。
  • プロダクト・ライフサイクルごとの戦略の在り方の差異の説明も興味深かった。
  • PPMの考え方に基づくキャッシュマネージメントの考え方の説明は、分かり易く秀逸と感じた*1

*1:この手の話がマーケティング戦略というものに含まれるのかという点は、いまひとつ腹落ちはしていないが。