WLBとやらについてのメモ

現時点でのこちらの考えるところをメモ*1昨日メモしたことの続きだけど。

 

弁護士はある種の職人なんだから、WLB*2をいうのは一人前になってから、というような言説に接したわけだが*3、個人的には違和感がある。

 

こちらは、仕事は、所詮生活のための手段としか思ってないので、如何なる場合でもWLBを度外視するのは理解しづらく感じる。そういう偉そうなことを言う人間が、WLBを無視して働いて心身を壊して働いた人間の責任を取るわけでもない(そもそも取りようもない)し、そういうことを言う人間の大半は雇い主側(その候補も含む)であることを考えると、ある種のポジショントークである可能性も考える必要はあるだろう。

他方で、経験値を積むうえでは仕事に集中した方が有利に働きやすい(常にそうとは限らないが)という側面があるのも、少なくとも現時点では否定しきれないだろう。そうであれば、そういう可能性を理解したうえで、リスクを取るのも人生の選択としてありうるということになろう。重要なのは、そうした見返りを得るためのそういう選択をするとしても、そこには一定のリスクが存在すること、及び、他の選択肢もあることを同時に認識したうえで、選択されるべきだろうし*4、そうした意思決定過程の自由は確保されるべきと思う。

 

そういう意味で、弁護士である以上、と大きく振りかぶる議論は、前述の意思決定の自由を歪める可能性がないかと懸念する。そういう論者の物言いは、生存バイアス込みの「あなたの考える弁護士」はそうだというだけではないのか、と思うのである*5

*1:ツイ廃なのでこういう形でまとめておかないと後で探しづらい。

*2:昨日もメモしたように、内容は論者によって異なる可能性があるので、厳密な議論をする気ならば内容を詰める必要があろう。また、workはlifeの一部でしかないのに、両者を対置するのはおかしいのではないかというご指摘にも接した。確かにそうだろう。

*3:昨日のメモにも書いたが、そういう考え方がいつまで持続可能なのかは留意が必要で、それはこちらのような外部の事務所に仕事を依頼する立場からも注意すべき点ともいえる。

*4:更に、望ましいのは、危機管理として当該リスクが発現したときの対応策の存在を認識することだろう。その意味では無双御大の#杉原千畝プロジェクトを認識しておくのが良いだろう。そして、こうした点はいくら強調されてもされすぎることはないだろう。

*5:なお、これも再三述べていることだが、インハウスの方が、労働法の保護が及ぶ分は、WLBが保ちやすい。ただし、例外があることと、WLBが保ちやすいことが、仕事が容易だということを意味するとは限らないことも付言しておく。制約条件や求められる役割が異なるところなので、安易な比較には慎重である方が望ましいだろう。