相談に応じる

本日のスペースで喋る予定の内容を中心にしたメモ。

 

スペースでのくまった先生とのやり取りが、くまった先生の渋い声と絶妙な仕切りのおかげで面白かったので、さらに味を占めて、第3弾をすることとなった。

(なお、#萌渋スペース というハッシュタグを使うことにしたので(自棄気味)感想などはそちらを使って呟くなどしていただけると助かりますm(_ _)m。)

 

今回のお題は、事業部から法務部に依頼・相談があったときの対応、というもの。この点については、以前次のようなエントリを書いたので、その内容に基づいて話をするつもりだった。

dtk1970.hatenablog.com

 

とはいうものの、色々考えているうちに上記の内容に加えてコメントしたい点も出てきた。そういうものをスペースに備えて準備したので、スペース終了後に公開する次第(くまった先生、お聞きいただいた皆様、ありがとうございました)*1

 

以下では、企業内法務を前提にしていること、及び、こちらが以下すべてを常に貫徹できているわけではないことを付言する。そうやって自分のことを棚に上げでもしないとこのような形で言葉にしづらいのでご容赦願いたい。例によって見出しは、くまった先生からの投げかけである。

 

1.事情聴取のコツ、心掛けていること

  • まずは、何をしようとしているのか全体像(人・モノ・カネ・情報の流れ、当事者間の役割分担・権利義務、自社がその中でいかなる利益を得ようとしているのか(短期・長期両方で)、物事の起きる順序)を把握することが重要と感じる。全体像を見失って、コメントする際の方向感を間違えるとまずい。こちらの回答の軌道修正をする羽目にならないようにするのが大事。
  • 次に、分からないときはわからないというのが大事。あいまいにしないということだけど、言うほど簡単ではない。
  • そのうえで、相談する側の想定から軌道修正が必要そうな場合は、その可能性が判明した時点で早めに伝えることも重要。相談に来る側も一定の想定をおいて、準備をしながら、相談にくるのが通常である以上、その準備を無駄にする可能性があるなら早めにいうべき*2。この点を誤ると恨まれる。
  • また、依頼者の言語化能力が有限であること、依頼者が都合の良い言質を取ろうとしている可能性があること、については意識することが重要と考える。あまり相手を信用しない姿勢を前面に出し過ぎるのも相手に不信感を持たれるので*3、信頼と不信の匙加減は重要。
  • 可能な限り複数人で相談に応じる。複数の視点の方が抜け漏れを防ぎやすいからだけど、事案の機微性が高いときは、やりづらい。
  • 書面にしてみる。形はさておき、メモにしてみる。そうすると抜け漏れがみえることもある。その場合は追加で質問することになろう。また、コメントした内容は、後で相手と共有すると、後で問題になった時に、こちらの身を守る材料になる(この点は以前ronnor御大が呟かれていたと記憶する)。
  • 最後に、社内でその件について話をするべき部署に話が伝わっているのか、踏むべき手続きを履践しているのか、可能な限り確認する。法務以外の観点(税務とか知財とか輸出管理とかIRとか)からの管理ができているかも重要。結局組織で動く以上、法務以外の点で問題が生じるのも回避すべきなのはいうまでもない。会社としての意思決定が適正に行われるよう見守るのも一定程度法務の仕事と考えれば、この辺りは必然的に守備範囲に入ってくるのではなかろうか。

 

2.相談内容のフォーマットの利用

相談の際に使うフォーマットの使用目的次第かなという気がする。現職では使ってないけど、過去の勤務先では使っていたところがあった。申請者が相談内容をフォーマットに埋める前提だと、埋められない・埋めようとしない人間が一定するのではないか( 最初の職場では、契約書の締結稟議については一定のフォーマットを使っていたときの類推だけど)。ただ、訊く側の質問の抜け漏れ防止・法務内での知識の保管・検索容易性確保の目的で使うのはアリだと思う。そういうものが蓄積すると、新しく法務に来た人がそれを見ることで、その会社の法務部門の業務について理解を深めるツールともなるわけで。

 

3.メール・チャット、電話で終わるか

上記の先行するエントリを参照。要するに状況次第だとは思うけど。

 

4.直接面談の必要性

こちらも状況次第。直接面談の方が、相手の表情とかも含めて読み取れる情報が多いので、出来るならすべきではあると思うけど。

 

5.ヒヤリハット

確認漏れ、検討漏れで...ということは遺憾ながらある。間違いに気づいたらその時点で謝罪して軌道修正するしかない。

*1:場合によっては、話に出た内容に関して、後日追記するかもしれないことを付言しておく。

*2:ここは外部の弁護士さんでも同じかもしれない。2社目の時には、外部に質問するときは「答えの分からない質問はするな」という言い方をされた記憶があるけど、それの意味するところは、上記の軌道修正が生じる可能性を減らすことが目的と理解している。

*3:やり方を間違うと目の前の件だけでなくその後についても祟る可能性があることに注意。