本日のメモ:外国公務員贈賄禁止規定違反の事件の上告審の弁論開催

自分の備忘のためのメモ。

何の件かと思ったら、不競法の外国公務員贈賄禁止規定違反の事件で、日本版司法取引の第1号事例となった事件の上告審の弁論の開催予告だった。なお、高裁判決は最高裁のサイトにも掲載されている。

www.courts.go.jp

この件では、タイ港湾当局に対する贈賄につき、会社側は司法取引により訴追を免れた反面*1、不競法違反としては、担当部長、担当執行役員及び担当取締役が刑事訴追される結果となった。前2者については既に執行猶予付きの懲役刑が確定しているが、担当取締役は争っており、地裁では前2者との共謀が認められて執行猶予付き懲役刑が出たのに対し、高裁では、共謀との認定は認められず、幇助に留まるとしたうえで、罰金刑となったが、これがさらに上告されていた、という話だったはず。

 

この事件については、コンプライアンス、特に外国公務員贈賄対策についての研修では、ネタに使わせていただいていることもあり、本件について、最終的にどういう判断になるかは、気になるところ。なので、備忘の意味でメモをしておく。

 

もっとも、上記の社内研修のレベルでは、上記の事件について最高裁がどういう判断をしようとも、最高裁に話が行くような手間のかかる話になっていて、被告人の方も会社を去る結果になった(高裁判決にその旨記載されている)ことからすれば、そもそもこのような事態になること自体、会社自体のみならず役職員個人として身を守るためには回避すべきものであり、そのためには...という話になるのは間違いない。担当取締役との関係では、事実を知りながら、容認しているとも受け取れる発言をしただけで、刑事訴追までされているということからすれば、社内への教育材料としては、その事実だけで既に十分役目*2を果たしているといえるので。

 

追記)弁論がなされたとのこと。

news.yahoo.co.jp

結審し、判決は後日言渡し(言渡し日は後日指定)とのこと。さて、どうなるか。

 

追記2:

判決が出た。最高裁は1審の判断を支持した。弁論をしている以上はそうなることは想定されていたが...。

dtk1970.hatenablog.com

*1:日本版司法取引に基づき、企業が役職員を「売る」結果になったという点は、企業と役職員との間の関係を考えると、色々難しい問題を含むと思うが、この辺りはもう少し事例の蓄積がないと判断しづらいところがあるのではなかろうか。

*2:ある意味での「脅し」めいたものではあるが