脊髄反射的なメモ:法律学習系雑誌の記事等について

何のことやら。ともあれ脊髄反射的に呟いたことを基に若干のメモを。

 

某研究者の先生が、概略、ロースクールが予備校に勝てないのは、研究者教員のわからせようとする気概とわからせる能力の欠如が理由で、その証拠に法律学習系雑誌の記事を読んでも本来の読者を向いて記事が書かれていない、というような呟きをされていたのに接した*1。当該先生におかれては、諸々拝見する限り、教育に相応のエネルギーをかけて、相応の自負をもってのぞまれているとお見受けするので、その点については、僭越ながら、敬意を表しつつ、思ったことをメモしてみる。

 

こちらから見える限り*2、そもそもの問題は、日本のロースクール・法学部の教授の方の評価の仕方が研究系に偏り過ぎていて、教える能力・気概のようなものを軽視してきたことにあるのではなかろうか。こちらがUSLLMで見た限りは*3、USのロースクールでは教員の教育能力についてもきちんと評価しているという感じだったので*4、そう感じるのだろうけど。特に、日本のロースクールについては、法曹養成が主目的の職業訓練校という色合いが強いのだから*5、教えた側を法曹にできたかどうかが評価基準として重視されるべきなのではないか。もちろん、入試突破者の能力水準も加味したうえで評価をするべきだろうけど。

 

他方で、法学教室とかの記事については、こちらは日本の弁護士資格を得てから読むようになった*6。受験勉強をしているときは、月一度の連載という悠長なものに付き合う気力はなかった。僕が受験勉強をしていた時期に、どうしても付き合わないといけないような連載があるとも感じなかった。単行本化しているもので対応可能で、追いかけていないことが致命傷になるもの*7はなかったはず。

 

それはともかく、今は法学教室を定期購読しているわけだけど、僕が見る限り、確かに初学者にはこの内容は消化不良になるなというか、修習が終わるくらいの読者層でないと理解できないのではないかという記事も平気であるような気がする。その意味では読者層として捉えるべき層をどこまで理解しているのか、疑義が出るのは当然のことと感じる。そういう記事を書くに至るのが、学生層の状況・能力への無理解に起因するのだとすれば、問題と言わざるを得ないのだろう。

*1:例によって、当該先生の言を批難する意図はないので、リンクなどはしない。

*2:当然のことながら、こちらの視野及び見聞する範囲の狭さに起因する偏見などに基づく誤解があるかもしれず、その点については適宜の手段でご教示いただければと思う。また、当然のことながら異論もあり得るものと考える。

*3:1校しか知らないので限られた視野での感想であることは言うまでもない。

*4:記憶があいまいだが、教えるという点に焦点を当てた表彰もされていたような気がする。

*5:その意味では、安念先生のように、心掛けていることの最初に、「学生の立場を理解する。学生は受験生であり、当面の目標は司法試験の合格以外にはない。」と掲げている先生が、傍から見る限り、例外的に見えてしまっている時点で「終わっている」という見方もあり得るのではないか。

*6:読むようになった経緯は、こちらを参照。

*7:そのようなものが存在し得るとは思っていないが。