分かち合えるのか否か

何のことやら。脊髄反射的に呟いたことを基にメモ。

 

過日、所属を記したアカウントの方が、締結した契約書を社内全員に公開という趣旨の呟いているのに接した*1

 

当該呟きに対するこちらの最初の印象は、そういうことをして大丈夫な契約内容になっているのか精査したうえでのことだろうか、というものだった。契約書の存在及びその内容について、社内でもneed-to-knowがある範囲での共有しかしてはいけない、というような制約を課している事例も見受けられるからである。この点が看過されているのであれば危険と思う。そういう内容の呟きを社名を冠したところでやるのは、当該会社は、「そういうところ」と認定される危険があるのではないかと思う。

 

もちろん、need-to-knowについては、具体的にその内容を定義されていることが少なく*2、該当性が判断基準不明なことが多いから、最悪、needがあると強弁することもできるかもしれない。ただし、同じ相手と次の契約があったときには、そういう強弁に対する反動が来るかもしれない*3。それ以前に管理能力に難ありと認定されて、契約相手とすべきではないという判断をされる可能性すらあるのではないかと懸念する。

 

なお、ここで重要なのは、実害の有無ではなく、書面にしたことを書いたとおりに履行するかどうかという点で、その点が理解されていないと危険な気がする。契約書に書かれていることを平気で無視する相手との間では、契約書に何が書いてあっても、規定した内容が遵守されることについての実効性が保障されないことになりかねない。契約の内容以前の問題として、そのような相手と契約を取り交わすことについては、企業内法務としては、控えめに言って、警戒をすべき旨、進言することになるのではないかと思う*4

*1:ご本人を糾弾する意図は有していないので、リンクなどはしない。また、前述の意図から、若干日付をあけてエントリにした。

*2:個人的には見た記憶がない。

*3:その種の行為を回避したければ、個人名まで特定して、この個人以外とは共有しないよう規定したうえで、更に当該個人全員から守秘義務を遵守する旨の誓約書を徴求することも考えられる。そういう実例に接したこともないわけではない。

*4:もちろん、その種の危険を甘受してもなお契約を締結する、という判断もあり得なくはないし、その種の危険から実害が常に生じるわけでもない。ただ、それらの点は、危険があることとは両立することも確かだと思う。