脊髄反射的なメモ:不可抗力事象?

脊髄反射的に呟いたことを基に、自分の備忘録代わりのメモ。

 

不可抗力条項の不可抗力事象(不可抗力条項による義務免除の効果をもたらす事象)としてコロナウイルス感染症を挙げないという趣旨の呟きに接した。それとは別に、コロナウイルスを通常の不可抗力事象とは別扱いするという趣旨(と思われる)呟きにも接した*1。こういう扱いが考慮される理由としては、コロナウイルス自体は予測されているから、ということのように思われる。確かに、次の「第6波」が来ることは一定程度予測されているといえばその通り。予測されている以上、直接の対策を講じることはできないとしても、間接的な対策(保険などが典型だろう)を講じることができると思われるので、不可抗力条項による免責の恩恵を与えるべきではないという発想になったとしても、理解不能ではない。自社のサプライヤー労働争議とかが不可抗力事象から除かれている事例などと類似したものを感じる。

 

しかしながら、予測されているだけなら、台風だって洪水だって、時として火山の噴火だって予測されていないかという気がする。そういうものにも前述の間接的な対策は想定可能だろう*2。とはいえ、これらについて、その発生が予測されているから不可抗力事由から除外するという話には接した記憶はない。他方で、本契約締結時点で未知のコロナウイルス変異株とかであっても不可抗力事象から除外するというのは、流石にやり過ぎではないのかという気もする。変異株の挙動、感染力の強さなどは未知なのだから*3

 

結局のところ、契約自由の原則の下での当事者間でのリスク分配の問題でしかなく、そう考えると、上述の整理もあり得ないとまでは言えないと思ったものの、個人的にやや違和感が残ったので、備忘のためにメモしておく。このあたりをどう理解したらよいのか、参考になるものがあれば、知りたいところ(ゆる募)。

*1:もっとも、感染症それ自体を挙げていないとしても、その蔓延に伴う政府の措置などを別途不可抗力事象として捉えることもできるので、この点に拘る実益がどこまであるかは疑義があるのも事実だろう。

*2:もっとも、特に大規模自然災害については、費用対効果の問題で、想定可能な対策が実施可能、入手可能とは限らないのだが。

*3:その意味では、契約締結日時点で未知のコロナウイルス変異株による感染症禍は、前述の発想に立ったとしても、なお、不可抗力事象であるべきではないかと感じる。