中も色々

脊髄反射的に呟いたことを基にいくつかメモ。2日続けてこのあたりのネタというのもどうかと思うが...。

 

外の事務所で体調を壊したからインハウスに、という言説に接したが、やや違和感を覚える。言いたいことは伝わらないでもない。確かにインハウスは雇用契約に基づき労働法の保護の下にいるから、その分、アソよりも保護される確率が高い(働き方改革というのもあるわけだし)。とはいえ、その際は、労働法の保護の及ぶ限りでは事務所よりも「ホワイト」である可能性が高いということでしかないことは留意すべきと考える。企業内法務でも、資格に関係なく激務の方はおられて、TL上でもその様子が垣間見られるところである。事務所によって待遇などが異なるのと同様に、企業による違いは相応にあるので、インハウスという括りでどこまでのことを語れるのかは注意が必要だろう(この点は自戒を込めて、だが)。

 

また、そういう「ホワイト」なところが、インハウスの定着率が高いかというとそうでもない、という指摘にも接した。これは、インハウスの場合、資格の分、転職(事務所に移るまたは独立も含め)が容易なので、その企業にいた経験がその後に活きることが実感されないと、他所へということになりやすいのだろう。企業の法務部にインハウスが複数いても、法務部長(法務部部長、つまり担当部長ではなく、部署の責任者としての部長)になれるのは、同年代では一人で、さらにその上に行ける保証もないから*1、法務の業務を志向するとなると*2、一つの企業にずっと、というのを考えにくいという事情も作用するものと考える。

 

…もちろん、いうまでもないことだが、インハウスと外の弁護士とでは適性が異なる。後者がつとまる*3ことは、前者がつとまることを保証しない*4。前者は、労働法の保護下にある「サラリーマン」なので、「サラリーマン」であることに対する耐性、が必要であり、その点を安易に考えると好ましくない事態に陥るかもしれないということは、強調しておく必要があるだろう。

 

 

*1:法務部門が複数の部に分かれていれば部署責任者としての部長は複数出るが、そういうところでは法務部員も多いので確立としては似たようなものになるのではなかろうか。

*2:法務以外のキャリアを選択肢に入れるのであれば別異の議論があり得るかもしれない。この辺りは、無資格法務のキャリアパスの議論(一例はこちら)と似た部分があるのかもしれない。

*3:それが第三者から見ても言えるのかはさておき

*4:逆もまた真なりで、僕は、後者は無理と感じて前者になった。もともと企業の中にいたので、ここまでのところインハウスであることについては、大きな問題にはなっていないと感じている。