最近の何だか(2021/7/26)

例によって例のごとく、呟いたことを基にメモ。

※up後に編集忘れに気づいたので若干の手を入れた。

  • 無資格法務*1でも企業内法務で困らないという言説に接したが、正味のところはそうだろうと思う。とはいえ、法務を評価する人間がそのあたりの正味のところを理解しているとは限らない点は留意が必要だろう。その意味で無資格者は一定のリスクの下にあることは留意すべきと考える。そのリスクを避ける意味もあって、こちらは資格を取ったのだった。こちらがその結果を得るに至った過程では色々な幸運に恵まれたことが大きく作用していて、結果として汎用性はゼロなので、他人様に向かってこちらの取った過程を真似しろとは言うことは憚られる。ただ、そのルートが現状極めて実行困難かつコストパフォーマンスがよろしくない現状は宜しくないと思う。

  • 法務部門の責任者としては、法務人員の人員構成*2については、資格を取ってから入ってくる人間とは別に、中にいる人間(できれば他部署経験者)もいるべきと考える。法務しかしない人間だけでは脆弱になると感じる。それは、法務が事業部門からどう見えるか、事業部門が法務に対して何を「しかけて」来るかについての視点が、自社の法務生え抜きだけでは弱くならないかという懸念を覚えるからなのだが。

  • AI契約書審査サービスとかは、便利な反面、モノを考えなくなる危険を完全に否定することは困難ではないかと感じる。そういう意味ではこの種のサービスの費用対効果の中にはその危険も織り込んで考える必要があると思う。日々契約書を自分でチェックしていることで養われているものがあり、それをしなくなることで、失われ、そのことで負の影響が生じる部分があるのではないかと感じるわけだ。その危険を織り込んだうえでも費用対効果が合うと言えるのであれば採用するのも一案なのかもしれない。個人的には今の勤務先で積極的に入れる気はしないが。

  • 契約書は、事業部門にとっては行為規範のはずなので、その前提として事業部門に理解できる内容でないといけないと考える。その意味で、裁判になった時のことを最優先に考える見解(J経験者の先生等)には違和感がどうしても残る。外の事務所の先生としてはやむを得ないところが残ることは理解するけれども(だから、ここまでの勤務先では契約書のレビューは外に出さないことが多かった)。
    そういう意味では、「中の人」としては、依頼するなら最初からドラフトしてもらう形にするし、ドラフトが十分なものとなるようインプットをきちんとすることに注力する方がよいかもしれないと考える。「中の人」の法務は上がってきたものを検討する形が良いと考える。

  • 企業からの相談について外の弁護士さんが何らかの対応をした場合は、対応を受けた企業側の最終判断について、経営判断原則に照らして保護される範囲に収まっていれば(コンプライアンス上疑義のある場合は別として)、それ以上は外の先生があれこれ悩む意味はないのではないかと僭越ながら思う。

     

*1:なお、ここでいう無資格は、法域の如何を問わず法曹資格を有しないことと、しておく。

*2:ポートフォリオと横文字を使っても良いが