ビートルズde英文法 (放送大学教材) / 佐藤良明 (著)

テキストを買って、講座も、PC上でradikoで再生したものをイヤホンジャックからICレコーダーにコードをつないで録音して(エアチェック!)、一通り聴いた*1のでまとめて感想をメモ。ビートルズ好きなら、聴く価値のある講座。

 

表題から、彼らの歌詞を素材にした英文法だけの講義かと思ったが、良い意味で、そういう範囲に収まるものではなかった。もちろん文法も学ぶのだけれど、文法だけではなく、彼らの音源を使って*2、発音やリズムを歌いながら学ぶという内容も含まれていて、講師3名(主任講師の佐藤先生はリアルタイム世代、残りのお二方は僕の世代)ともに彼らのファンだからか、彼らが歌って*3、楽器も奏で*4、それに合わせて歌って発音などの練習をするというのは、楽しく、新鮮な印象だった。言語は身体で覚えるという側面があると感じているので、こういう形で楽しみながら学ぶことは良いことだと感じた。

 

さらに、音の面については、難波弘之さんが2回登場されて、実際にキーボードを弾かれて音作りについてのお話もされた。こちらについても非常に興味深かった。個人的には、難波さんというと達郎さんバンドのキーボードの印象が強いものの、世代的には彼らの音楽を知らないはずはなく、難波さんの解説も非常に興味深かった。

 

内容盛りだくさんという感じではあったものの、その分文法それ自体については、学びなおしという面では、さらっとしていた感もあり、他方で、英語の時制は現在と過去しかなく、それぞれに未然、進行、完了という三態があるという説明は、僕がこれまでに接した英文法とは異なるものの、そういう整理もアリかな、と思った。また、例文でも歌詞やそれをもじった内容が使われていることもあって*5、そこでも楽しむことができた。

 

採り上げられていた曲は初期のものが多く、末期のものはあまり出てこなかったのが個人的には惜しまれたが、初期の方がストレートな歌詞が多くて、学習用の素材としては適していたのだろう。番組の尺を考えるとそのあたりは想像に難くない。

 

ともあれ、ビートルズの音楽と英語に関心があるのであれば、聴いて損のない内容になっていると感じた。再放送などがあるはずなので、それを捕まえて聴いて楽しんでいただけるとよいのではないかと思う。

 

【2021年10月追記】

授業の音声が放送大学で公開された。ある程度彼らの曲に親しんだ経験のある方であれば、テキストがなくても授業の内容は楽しめると思うので、ご紹介しておく。

v.ouj.ac.jp

*1:テキストはコラムも含めて一読した。講師の方々のそれぞれの私的なビートルズ史に関する部分も含めて興味深かった。

*2:カバーとか逃げずに、しかもアンソロジーに入っている音源まで出てきた。権利処理とか大変だったのではなかろうか。

*3:ハモりもきちっとされていて、そういう面でのこちらの不勉強を恥じるばかり...

*4:中野先生がギターを毎回弾くだけでなく、大橋先生が"When I am sixty-four"を採り上げた際にはファゴットを弾かれた

*5:もっと使えるところがあったのではないかと感じたのはさておくとして。