小林克也 洋楽の旅 / 小林 克也 (著)

TLで発売を知り、近所の本屋で現物を見つけたので購入して目を通した。同年代の洋楽好き・英語好きにはお薦め、というところだろうか。

 

生誕80年・DJ50年を迎えた小林さん*1の一人語りの回顧談をまとめたもの、というところか。

 

あとがきで「1時間くらいでナナメ読みしてもらえるとスピード感もあって楽しんでもらえるんじゃないかな。じっくり読まれると照れちゃうけど。」とあり、小林さんのこれまでを丹念に振り返るというよりも、ざっくりと振り返る感じになっている。錚々たるミュージシャンの方々との出会いについての部分は「さわり」めいた部分だけになっていて*2、この辺りも、小林さん自身のそれぞれのミュージシャンの音楽に対する見方も含めて、個別に突っ込んでほしかったけど、そういうことをすると、ご本人にも負担になっただろうから、こういう形ででも、回顧談が残るというのも重要なのではないかと感じる。

 

個人的に小林さんを認識したのは、世代的にスネークマンショーベストヒットUSAだったわけだけど、それぞれがどういう経緯で生み出されたのかというあたりは興味深かった。あの「シンナーに気をつけろ」が生まれる経緯とかは、なるほど、と納得したし、ベストヒットUSAとの関係では、個人の好き嫌いとは切り離して番組を進行していたという点や、映画出演を通じて、それぞれの曲の良さを見るようになったというあたりは、かの番組での氏のスタンスを思い返して納得できるところだった。

 

もう一つ、小林さんというと、英語なわけで、近時だと、達郎さんのCOME ALONGシリーズでも流暢なDJを堪能できるわけだけど、僕らが小さいころには「アメリ缶」というのもあった*3のを思い出すわけだけど、氏の世代だと、やはりラジオの米軍放送がきっかけになっていて、そこからイベントの司会などを通じて、芸能界入りするあたりは、個人的には初めて接する話で興味深かった。
また、英語についての氏のコメントも、流石、というところ。ベストヒットUSAを始めて、改めて英語を勉強しなおしたというあたりは、こちらとしても自分を省みて反省する次第。それと、最後の日本人が話す英語の理想形についての指摘には、納得としか言いようがない(詳しくは同著に当たられたい)。

*1:何だかちょっとしぼんできた感じもするが、まあそれは仕方がないのだろう。

*2:個人的には、カレン・カーペンターについての件が、その後の出来事も含めて印象深かった。

*3:当時はカセットだった。