紙の本はリアル書店で購入しづらく*1、なかなか買う機会がなかった。先般ある件でアマゾンのギフトカードをもらったので、ようやく購入することにしたもの。Winny事件の弁護団事務局長だった壇先生*2が、当該事件についてブログにしていたもののをまとめなおしたもの。お薦めの一冊。
時系列に沿って物語は進み、技術的なところはわからなくても(脚注・巻末等に一定の解説はあるが、正直言えば、十分に理解できたかどうか自信がない)、読むのに大きな支障はなく、一気に読める。元のブログの文章を読んでいても、楽しめる。
個人的には、印象に残った登場人物を挙げると、まずは、博士。そのキャラクターの面白さは、理系のヲタの極みというかなんというか。確かに傍にいたら突っ込みを入れざるを得ないような言動も含めて、平和な立場で見ていると微笑ましいという気がした。
もう一人、特筆すべきは、ミスターインターネット村井純教授であろう。登場場面は少ないが、そこでの「漢(おとこ)」としか言いようがない無双ぶりが痛快だった。
最後に、主人公というか狂言回しの壇先生。博士の言動に突っ込みを入れつつも*3、悩みつつ(その悩みを率直に書かれている点や博士が亡くなられた後でも悩まれている点も印象深かった。)、冷静に状況を分析して、ご自身ですべきことと他の先生にお願いすることを切り分けつつ、弁護活動をされるところが、印象的だった。
刑事弁護は1年目の1件を除いてしていないので、この分野については何もいえないが、こういう大変な事件を手掛けることの大変さとその反面での醍醐味というのを、追走して堪能できたような気がした(気がしただけだけど)。刑事弁護に関して弁護士の醍醐味を堪能できるし、信じる力の重要性を教えてくれるという意味では、弁護士であれば、読んでおいて損はないと感じる一冊だし、弁護士を目指す方についても同様にお薦めする一冊。