あのころ、早稲田で (文春文庫) / 中野 翠

例によって図書館で借りて目を通したので感想をメモ。図書館にあるので、つい、買わずに借りてしまうのだが…。こうしたこともいつまでできるのやら…。

 

サンデー毎日の連載の単行本とかを愛読している*1中野さんが、浦和一女高から昭和40年代に早稲田の政経学部に進学し、学生時代+αを振り返ったもの。文庫化に際して当時同学年だった呉智英さんとの対談が付されている。

 

中野さんの諸作品に親しんでいると、中野さんの進学したのが文学部とかではなく政治経済学部というところにやや驚く。この頃の彼女の発言を見ると、確かに経済学部っぽいのだけど、この頃から、後年の萌芽というべき、サブカル寄りというか文化芸術よりも指向性も見え隠れしていて、これはこれで納得する。

 

時代的には「政治の季節」というところのはずで、彼女は政治経済学部にいたのだから、その手の活動に足を突っ込むのかと思ったら、予想通り傍観に留まっていた。これも納得のいくところ。

 

いずれにしても、彼女というフィルターを通して、当時の空気感みたいなものが伝わってきて、面白い。こういう早稲田であれば進学したら面白かったのではないかとも感じた。僕は、大学受験時には早稲田の政経は受けたものの、合格しなかったのだが。

 

巻末の呉智英さんとの対談は、お二人の写真を見て、老け方(まあ、お二人とも70代だから当然なのだが)に時の経過を感じるが、某話題(一応伏せる)に拘る呉センセイと嫌がる中野さんの対比が、クソガキと優等生女子の対話みたいで笑ってしまった。

 

*1:という割に手元に本はないのだが…量が多くなることとかが理由なのだが