面白くするには?

BLJが来たら感想エントリを「読んで出し」しようと思ったら、吉例に従い(投)、まだ来ない*1。何を書こうかと思っていたら、次のようなエントリに接した。

mimizuku18.hatenablog.com

元企業法務のオジサンとしては、何か言いたくなるところなので*2、偉そうにならない程度に気を付けて*3、かつ、偉い人(誰だろう)から突っ込みが来ても耐えられる程度に、と心掛けつつ(小者)、若干のメモをしてみようかと。当然のことながら、こちらの経験に基づくものなので、異論その他があることも言うまでもない。

 

契約書レビューが面白いか、といわれたら、場合による、ということだろうと思う。どんな契約書でもレビューが面白いという印象はないし、他方で、面白いと思ったことがあるのも事実。

 

となると、どうしたら面白く感じられるのか、ということを考えてみるのが良いのではなかろうかと思う。面白くないと思いつつ、嫌々やるのは、いろんな意味で好ましくない*4

 

まず思いつくのは、やっていることの意味が感じられないというときは、面白くないと思うのであろう。内容を見て、コメントしたところで、交渉力の格差や、交渉時間がないことなどから、問題点の変更はできない、というような場合がまず考えられる。契約締結の過程で社内規程上、レビューが必要であるというと、レビューをしたということそれ自体に意味があるが、それだけで積極的な意味を見出すのは、レビューをする側にとっては難しいだろう*5

個人的に体験した範囲では、事業会社における財務系の契約(コミットメントライン契約とかがその例か)がその例として思いつく。手数料料率の交渉で時間を使った後、最後にほとんど「セレモニー」的((c) @katax)に内容を見てくれと来る依頼とかがそうだ。そういう契約は大概長いし、複雑なので、余計にそう思ったのであった*6

 

そういう場合であれば、そもそも見ない、または、そういうものについては、見るものを絞るという方向性を模索するのも一つの手だろう。面白くないことをしなくて済むようにするという発想になろうか。類型化していて、適切な指導とサポートをする前提で、特定の範囲の契約書については、本社法務部でレビューせずに事業部門でレビューするだけにする、とか、そもそもリスクの範囲が限定的であれば一切見ないとか*7、そういう方向性を志向するのもあり得るだろう。当節流行りの技術の利用により、見る手間を減らすというのも同様の方向性になろうか*8

 

次に、上記のような手について、何らかの理由により、講じられない、または、講じるべきではないと判断された場合を考えるとどうだろうか。

一つには、なるべく早期にレビューができるようにするというのが一つの対応策になるのではないか。後でレビューをすることになればなるほど、内容面での修正もしづらくなるだろうから。特にそもそものスキームをどうするかとか、そういう部分があいまいである部分を整理するようなところから関われれば、情報の整理という意味で、事業部門からの感謝もされるだろうし、混沌を切り分けていく面白さを感じることもできるのではないか、という気がする。早期から関与できれば、自社にとって不利な内容の条項を受け入れざるを得なくなる確率も相対的には減るだろう。自社のリスクを減らすという意味では、自分のしていることの意味も見出しやすいだろう。内規上見せないといけないから見せるというよりは、そういう貢献が見えれば、依頼する側も依頼をする気になるだろう。

もちろん、そういうことをするのには、しないよりも時間がかかる。その時間を捻出するには、やらなくてもいいものを減らすというのも併用するのが一つの対応だろう。

 

…という程度のことしか思いつかないが、とりあえず挙げておく次第*9。内容的にしょぼい気がするが、その辺はご容赦を。

*1:こちらは、BLJは「そういう雑誌」として理解しているので特段腹は立てているわけではない。

*2:オッサンホイホイかもしれない(汗)。

*3:実効性を問うてはいけないのは言うまでもない。

*4:人間である以上、嫌々やると能率も効率も上がらないと思うので。

*5:レビューを依頼する側にとっては、契約締結までの「関所」を通過したという意味では意味があると思えなくもないだろう。大きな意味ではないとしても。

*6:こういう類型の契約については、レビューの仕方を、内容変更の交渉を前提に考えるものから、内容を変えないことを前提に、危険度の高い部分に対して、注意喚起と可能であれば対処策を提示するということに切り替えることが良いのではないかと思う。

*7:某大企業でそういう事例を見聞きした。リスクの見切りと、リスクの受容能力の問題から、相当大きな企業でないと取れないだろうけど。

*8:この手の新しい技術は「おもちゃ」としていじるのが楽しいという側面も一定程度あるものと推測されることも付言しておくべきかもしれない

*9:当節流行りの横文字でいうゲーミフィケーションとかも考えられるのかもしれないけど、個人的には違和感がある。