下請取引適正化推進講習会テキスト(R1版)

 久しぶりに一通り目を通してみたので感想をメモ。

 

このテキスト、修習でもH30版を渡されたんだけど、それなりに分厚いので、なかなか目を通す気にはなれず、ネットにデータがあることもあって、そのまま処分してしまった。今年は上記の呟きに思ったよりも反応があったこともあり、重い腰を上げて目を通してみた次第。前回一通り目を通したのは2010年だった…。

 

大きな構成自体が変わっているわけではないので、一度目を通しておけば、必要に応じて関係ありそうなところをつまみ読みをするのでも大丈夫ではないかと思う。そもそも4社目に移ってからは、下請法対応は下の人がやってくれていたので、自分でこのテキストを紐解く必要が生じることも、なくなっていたのだが。

 

ともあれ、いくつか疑問点などをメモ。

  • 個別の行為の禁止規定については、趣旨説明がそれなりについているのだけど、適用範囲については、なぜこの範囲が適用対象で、その外が適用対象ではないのか、というところが、改めて考えてみるとよくわからないなという印象。単純な標準品の売買でだって、下請事業者に該当する業者は力関係的に弱いだろうし、迅速な救済の必要性が、現行の適用対象と変わるかというと、どうかなあというところ。標準品だと他のところに売れるから要保護性が異なるということは考えつかないではないが、本当にそうなのか、というところが疑問。
  • (前にも書いたかもしれないが…)支払期限の遵守については、規定の趣旨は理解するものの、親事業者にとっては、下請からの請求書がないと払えないということが生じうる。内部統制とかの関係ではそうなって然るべき。しかしながら、下請が何らかの理由で間に合うように請求書を出さなかったらどうなるのか。親事業者が手を尽くしてもなお、請求書が出ず、そのために支払いができなかった場合には親事業者はどうなるのか。その辺りまではテキスト上は記載がなく、無理やりにでも一方的に払ってしまうという以外には、親事業者側には、違反を避けるための選択肢はないのか、というところも気になった。
  • これは疑問とかではないのだけど、勧告一覧が資料編にあって、見ると、代金減額が一番多いのだが、こちらで見る限り、問題となる金額については、総額500万以下のものはなく、ほとんどが総額1000万円以上のもの。比例原則を考えると、一応理解可能という気がする。