その対応は?

例によって例のごとくメモ。同じような話ばかりですいません(汗)。

 

 

某投資稼業の方(特定を避けるために、あいまいにしたいが、適切な表現が思いつかないのでこういう言い方にする)が、いわゆるスタートアップの方と会う際にはNDAについてはサインをしない、と読める呟き(及びそこにリンクされているエントリ)に接した。補足のものも含めて読むと、いわゆるシード期のスタートアップの方々と会う時のことのようで、会社の方針としてのことではあるが、一定の例外もあるようだった。とはいえ、投資周りは門外漢であるものの、そういう物言いってどうなんだろうと思ったのでありました。

 

投資稼業かどうかに限らず、どういう情報の開示を受けるかも不確定なところで、かつ、NDAの内容にも関係なく、一律に、NDAへのサインを拒絶する方針を打ち出すということは、相手方から開示される情報はいずれにしてもNDAを結ぶに値するほど貴重な情報ではないし、開示されたものは自由に好き勝手に使いたいという本音が背後にあるのではないかと勘繰っても良いのではないかというのが素朴な疑問。投資を受けるといっても、取引としては対等なはずなわけで、そこまでの扱いを受けないとイカンのかという疑問は持ったとしてもおかしくないのではと思う。自分たちのやっていることに自信があるならば余計に。情報を出す側にとっては、投資稼業の方に関心を持ってもらうために、それなりに機微に触れる情報を出す必要があると感じることもあるのではないかと思うわけで、それにも拘わらず、一律な対応はおかしくないかと感じた次第。

 

何でもかんでも書類にサインはできないし、サインするとなると法務的検討がいるというのは理解できるとしても*1、自社から積極的に、こういう内容ならば誓約できるとあらかじめサイン済の差し入れ書を渡すという対応だって考え得るところ*2、そういうことすらしないとあらかじめ明言するのは、それはそれで違和感を覚えるし、前記のような懸念を持たれても仕方がないのではなかろうか。

 

仮に、そういう相手であることを前提に対応を考えるとするならば、NDAなしには開示しない情報の範囲を極力減らすというアプローチもあり得るとは思う。しかしながら、そもそも、そのような対応を取る相手に向かって情報を開示すべきか、何かを継続的にやるべき関係を築くべきかというところで、疑問を持つのが健全なのではないかという気がした。

*1:この点に関して、元の呟きにリンクされていたエントリにでの弁護士に対する物言いにも違和感はあったのだけど、それは別の話なので略。

*2:僕の過去の勤務先の親会社であった某米系企業では、NDA以外についてではあったが、そういう対応を取ることがあった