自分の能力を知る

感じたことのメモ。

 

契約だけの話ではないけれど、自分(自社)の能力を踏まえて契約とかはしないと、結果として非効率な事態を招来することになりかねない。

 

まず、出来ないこと*1は約束すべきではない。最初から債務不履行になるとわかっているような約束はいかなる意味でもしないほうがいいと感じる。もちろん、「契約を破る自由」という「法と経済学」的な発想で、債務不履行になった時の損害を勘案してもなお債務不履行の危険をとるべきという判断が必要かつ可能となる場合があるのだろうけれど、それはあくまでも前記の原則の例外とみるべきだろうと思う。その種の発想で常に割り切れるとは限らないからだ。いわゆるレピュテーションリスクの類まで視野に入れると、例外的な議論には慎重であるべきではないかと思う。

 

他方で、上記が義務の負担の局面で考えているのに対し、権利の側について見ると、持っていても使いこなせない権利を得ようとしても、益するところは少ない、とも感じるところ。権利を得るのもタダではないから、益するところが少ないのに、何かを犠牲にするのも相当ではない、ということになるのだろう。こう考えると、費用対効果の問題ともいえるのだけど。

 

この両者を見極めるためには、自分(自社)の能力の見極めが肝心で、それは外部の弁護士にとっても重要なんだろうと思う。ここでいう能力は、モノの売買であれば、生産能力及びその増強の余地みたいなことや業界内での立ち位置、相手方の交渉力の差異、自社の担当者の能力等、様々な要素が含まれることになるのだろう。ここの見極め方次第では、他で通用したひな型とかも自分には通用しないということも十分にあり得るということになるのだろうと思う*2。裏を返せば、その辺を見極めることで、交渉では、確保すべき事項の絞り込み、優先順位付けが容易になることもあるのではないかと思う。

*1:現実に出来るかどうかに限られず、今後努力したら何とかなりそうなことは、ここでいう「出来る」に含めるべき場合もあろう

*2:だからこそ、ひな型とかいわゆるグッドプラクティスとされる他社事例の自社への適用には注意が必要と感じる。