まあ,そういうことで。事件の内容自体について触れずに済む範囲で,普段事務所でも刑事を扱わない人間の感想等を,いくつかメモ。
所属する単位会の研修の一環として刑事事件の割当があり,配点を受けた事件について,先日職務が終了した*1。
東京地検・東京地裁の管轄内での事件だったので,ローカルルールも含む細かい手続きとかまで載っていて,手頃な分量にまとまっている,新・実践刑事弁護〔第2版〕: 昇平弁護士奮闘記を一番参照した。最初ということもあり,些細なことでも,わからないと焦るのだけど,細かいことも含めて記載があって,助かった。接見などの際にも六法や記録と合わせて持ち歩いていた。
他方で,定評あるビギナーズは,情報量が多すぎて,個人的には使い勝手が良いとは感じなかった。欲しい情報がすぐに見つけられなかったので。とはいえ,ちゃんと探せば出ていることが多いのと,書式のデータとかもあるし,手元には置いておくべきと感じた。この2冊は,東京で事件にあたるなら手元に置いておくと便利だと思う(後者はどこであっても必須だろうけど)。
上記に加え,捜査弁護の段階では,先を見通す捜査弁護術も有用だった。
公判弁護では,ケースセオリーに関しては,刑事弁護の基礎知識が参考になった。
あと,証人尋問などについては,実践! 刑事弁護異議マニュアルの末尾の異議の一覧表がわかりやすく,これを法廷に持ち込んで対応した(実際異議も出したし)。
国選に関しては,某先生のエントリはあるけれど,あそこで反語的に記載されているような,経済合理性に忠実な動きはできず,むしろあの逆に近い動きをする結果になった。その結果,時間がものすごくかかってしまい,普通の民事と一緒にやるのは簡単ではないと感じた次第*2。警察にいるうちは,夜でも接見ができるので,まだ良いのだが。
また,ペットのえさやり問題等に見られる,刑事弁護人がどこまでのことをすべきか,という刑事弁護の外延については,個別の事件ごとに考えて決めるとしても,何らかの線を引いて対応をしないとイカンなというのが今回の反省。
いずれにしても,一人で一つの事件を最初から最後まで担当して,終わったのがこれが始めてなので,ほっとしたというのが正直なところ。自分一人で決めるのは大変だったが,反面そのやりがいも感じられた。