例題解説 新破産法

とりあえず一通り目を通したので感想をメモ。

 

 

こちらの本に引き続き,破産法全体を解説した本に目を通そうと思って,積ん読の山から引っ張り出した本。雑誌「法曹」の連載をまとめたもの,らしい。新人弁護士などに向けて,破産法の基本的な知識と実務の運用について解説したもの,という感じ。

 

裁判官が書いたものだから,なのだろうけれど,縦書きの文章は読みやすい。分量も新書判で,約400頁なので,通読しやすい。概要を知る上では良い本ではないかと思う。もっとも,こちらが破産法自体にまだ馴染みがないこともあってか,読んでいて退屈と感じたのも確か。

 

気になったのが,地裁ごとに運用が違う部分が相応にあることを受け,東京地裁破産再生部での運用について,書かれているところ。東京で弁護士をする上では,有用なのだけど,他方で,他の地裁での運用はどうなっているのか,どの程度東京地裁の運用から乖離しているのかよくわからないのが気になった。法と実務の概要を把握するという段階でそこまで気にしても意味はないのだろうけれど。

 

さらにいえば,そもそも地裁ごとに運用が違うというのは,どこまで正当化されるのか疑問。地裁ごとに運用が異なるそもそもの理由がよくわからないけれど,裁判所側のリソースの分布状況に起因するのであれば,そもそも申立が東京に集中しがちという事情はあるだろうとしても,破産者にも破産債権者にも関係のない事情だろうし,それでいいのか,という気がしないでもない(考えすぎだろうけど)。