坪内さんの日記シリーズも,中野翠さんや小林信彦さんの連載と同様に,折にふれて図書館で借りて読むようにしている*1。今までは,酒と冠した夜の日記と,本または書と冠した昼間の日記と別に記録されていることが多かったが,本書では後半部分で,昼夜と二段組で,並行して記載がなされているのが特徴的。個人的には二段組で読みにくさを感じるところはあったが,これはこれで面白い。
あいかわらず,膨大な量の書物に接し,酒を飲まれている*2。書物についてであれ,飲み屋についてであれ,内容がわかるはずもないが,ともかく感嘆するしかない。それにしても一体どのように保管をされているのやら(これはいつも思うことではあるが)。
言葉・事実の細部に至るまでの拘りも健在で,事実誤認に対しては,逐一,根拠を示して難じているのも流石といえる*3。内容がわからなくても,読んで面白いと思わせる日記が書けるのはやはりプロの文筆業たる所以なのかもしれないが,こういうものが書けるようになりたいと思うのでありました*4。