昼夜日記/坪内祐三

  

坪内さんの日記シリーズも,中野翠さんや小林信彦さんの連載と同様に,折にふれて図書館で借りて読むようにしている*1。今までは,酒と冠した夜の日記と,本または書と冠した昼間の日記と別に記録されていることが多かったが,本書では後半部分で,昼夜と二段組で,並行して記載がなされているのが特徴的。個人的には二段組で読みにくさを感じるところはあったが,これはこれで面白い。

 

 

あいかわらず,膨大な量の書物に接し,酒を飲まれている*2。書物についてであれ,飲み屋についてであれ,内容がわかるはずもないが,ともかく感嘆するしかない。それにしても一体どのように保管をされているのやら(これはいつも思うことではあるが)。

 

言葉・事実の細部に至るまでの拘りも健在で,事実誤認に対しては,逐一,根拠を示して難じているのも流石といえる*3。内容がわからなくても,読んで面白いと思わせる日記が書けるのはやはりプロの文筆業たる所以なのかもしれないが,こういうものが書けるようになりたいと思うのでありました*4

*1:書中日記」,「酒中日記」,「本日記」/「酒日誌」

*2:出てくる飲み屋の中に一軒だけ,こちらも行く店があり,もともと世田谷ご出身ということで一方的に抱いていた親近感を更に増すのであった…。

*3:もちろん,僕は指摘の内容を検証しているわけではないので指摘の当否を判断することはできないのだが,ともあれ,根拠を示して指摘できるだけでもすごいと思う。そこまでしようとする執念というかなんというかが。多少大人気ないかなとも思わないでもないが,そこもまた「味」のうちなのだろう。

*4:実際には,こちらの弁護士業務上の話については,よほど気を使わないと無理だろうけど