もはやなんだかわからないが,某呟きに対する脊髄反射的ななにか*1。
概略,議事録について,会議をしながら作って,会議終了時点で出来上がっていることについて賛意が得られるのに,契約交渉については,同様のことをすることについて,賛意が得られないのはなぜだろうか,というようなことを述べるつぶやきに接した*2。
会議の議事録についても,その場で仕上げていくやり方が望ましいかと言うと,そもそも会議の性質によっては,そこからして疑問だったりする。その辺りは会議自体の性質やその会議の持つ意味合い,会議を取り巻く状況によって変わりうるところなのではないかと考える次第。
例えば,会議の議事録が外部の目にさらされることが予定されているような会議体(取締役会議事録がその典型)の議事録については,出席者間の暗黙の了解で話が進んでいったようなときに,暗黙の了解部分の補足なしに議事録として外部の目にさらす形を取ると,誤解を招く恐れもある。自由闊達な議論が必要なところでは,議事録として,全部を残すのが適切でない場合もあるかもしれない。話が前後しているときは,前後の順序を入れ替えることが,読み手の理解を促進するうえで必要になるかもしれない。時として,いかなる形で議事録として残すべきか,から逆算して,内容の調整が必要となることがあり,そのあたりまで会議をしながら並行して進めるのは厳しいものがあるというのが,こちらの今までの経験から感じるところ。その意味で,前段部分も,会議体一般について無邪気にいい切れる話なのか疑義が残るような気がして,僕は前段部分については,直ちには賛成しかねる。
契約交渉について考えてみると,そもそもある程度以上の大きさの企業であれば,その場で契約締結まで全部判断できる形で交渉チームを作ることが。どこまであるのかということから問題だろう。その場で内容を全部合意できるということは,内容を理解した上で,自社にとって受け入れ可能かの検討ができることがまず必要で,そのための専門知識(ビジネスとしての検討,法務面での検討を含むがこれに限られない)がその場にいる人*3に備わっている事が必要で,さらに,それに加えて,会社の組織の意思決定過程として適切な意思決定ができるだけの権限者がその場にいることが必要となる*4。そこまで揃えて交渉に臨むことも状況的にはあり得ないとは思わないが,それがどこまで頻繁にあるかというと,むしろ稀なのではなかろうか。
だとすると,元の呟きの後半部分は,この辺りの組織論を軽視しすぎていることになるのではなかろうか,と感じたところ。
迅速性が求められる時代とはいえ,時と場合によっては,慎重な対応が必要になることそれ自体は否定はしにくいように思う。その辺りを無視しているかの如きつぶやきについては,老害と言われようとも違和感があるし,その点は記録しておきたいと考えた次第*5。