言葉を失うと

何のことやら。

法曹に限らず,多くの場合,人の意思疎通は言語によってなされる。そうなると,自分が発する言葉,それが話し言葉であれ文章であれ,について,受け手がそれを信頼しないとなると意思疎通が極めて困難となるものと思われる。

 

相手になにかお願いをするときには,言葉でこちらの意図を伝えないと,意図を理解してもらうのは困難というのが通常ではないかと思う。意図を忖度してこちらの願うことが叶えられるように相手が動くことが想定しにくいところでは,お願いごとを実現するには,相手との意思疎通が前提となる。

 

そのように考えると,自分の発する言葉に対し,相手がまったく信頼してくれていないとなると,意思疎通にならず,お願いごとを実現してもらうのは,不可能に限りなく近づくと言えるような気がする。

 

理由はさておき,そういう風に発する言葉に受け手から信頼がまったくなくなってしまった結果,お願いごとのしようも無くなる,という事例に接した。信頼に足りるものとして相手に投げかけることのできる言葉が失われたところでは,相手を動かすことなどおよそ不可能に近いわけで,そういう事例に接すると,とりあえず,自分はそうならないようにしようとまず思ってしまう。まあ,そう思っても実際にできるとは限らないのだが…。