この手のシリーズ物ばかり読むのもどうかと思うが,業務上必要が生じそうな気配があるのも事実なので,目を通してみた。そこで,感想を簡単にメモ。
このシリーズの本に目を通すのは4冊目だったと思うが,典型的な論点?とかについて,体験談を基にコンパクトに解説がなされていて,総じて,文章も読みやすくとっつきやすいのが良い。反面,これまで目を通した限りでは,この本の次に紐解くべき本へのガイドがあまりないのが,辛いところ。分野ごとの定番書籍の紹介くらいは載せても良いのではないかと思う。
個人的にこの本で良いと思ったのは,一つの問題について,使用者側,労働者側双方の視点からそれぞれコメントがなされているところ。個人的に見る限り,労働法の分野は,使用者側,労働者側で,大きな対立が予想されることもあるので,いずれの側に立つにしても,相手の側からどう見えるのか,ということを意識することが重要なのではないかと考えるので,双方の視点からのコメントは有用と感じた。
関連して,やや意外だったのが,編集後記の中で,編集に当たられた先生方の多くは,使用者側,労働者側どちらの弁護もするという方が多いということ。思想信条として片方しかしないという先生の方が多いものと,思っていたので*1。
*1:個人的には双方をすることの有用性はあると思うけど,信条として片方のみ,という方が依頼者が信頼しやすくなるのではないかという気がするのだが,どうなんだろう?