それなりの矜持

元「中の人」としての感慨めいたものではあるが…。呟いたことのまとめだけど。

法務という職能は,企業の中で主役になることは想定しづらい。敢えて主役になるような状況を敢えて想定すると,危機的状況ということのほうが想定しやすく,健全な状況下では想定しづらい。企業内では主役というよりも脇役,ということになろう。

 

脇役だから,軽んじられるべきかというと,それはまた別の話で,舞台において主役だけでは劇が成り立たないのと同様に,企業内でも,機能としては無くてはならない機能(特に,一定以上の大きさになれば)ということには,おそらくそれほど争いはないのではなかろうか。主役でないからこそわかること(岡目八目というやつだろうか)というのも存在する,というのも実感するところ。また,企業内で主役でないから力がないということでもない*1

 

それなりの専門性と,それに基づく一定の矜持を持って仕事をすることは,それがほかから評価されるかどうかを別にすれば,それほど困難ではないように思う。そういう矜持は,専門性故に他からは理解されにくいだろうし,理解を求めることを優先すると別の弊害も出るのではなかろうか。

 

昨今,主役になりたがるように見える法務の方々や弁護士さんを拝見すると,脇役なりの矜持を共有できないのだろうなと思う。でも,果たす機能からすれば,管理部門の一機能であることから抜け出るのは,おそらく不可能だろうし,そういうことは他からも期待されているとは考えにくいのではないか。仮にそうだとすると,主役をやりたければ,寧ろ事業をする側に回ることを考えたほうが素直なのではなかろうか。

*1:人事とか経理を見ればわかるように…もっとも人とか金を握っていない法務が力を持つのは困難なのも事実だろうけど