こんなところでつまずかない! 破産事件21のメソッド /東京弁護士会 親和全期会 (編集)

先日の債務整理系の書籍の次に読む,ということで破産事件の入門書を。

最初某別の新刊を読んでいたのだけど,どうも頭に入ってこないので,こちらに。

最近の即独の増加とかが念頭にあるのだろうけど,こういう新人弁護士向けの書籍は正直ありがたい。この出版社のこのシリーズの本を読むのは,相続事件に関するものに続いて2冊めだけど,申立をするかどうかを検討する段階から,申立をして,開始決定が出て,手続が進み,免責決定が出るまでの一連の流れに従い,先輩方の経験談をメインにしつつ,各段階ごとにすべきことの全体像と,それぞれの段階で,ありがちにつまづきそうな箇所についての解説があって,なるほどね,と思うところが多い。

 

破産事件は,手続とか時間の制約が厳しい中で,難しい判断を迫られることもある,とはぼんやりと理解していたが,解説を読んでみると,確かに,そもそも破産にするのかそれ以外の手続きをするのか,というところから始まり,破産にする場合の申立のタイミングを誤った場合に生じうる危険とか,申立までの情報管理のあり方とかなどなど様々なところで,こういうレベルで気を使う必要があるのか,と気づく。やったことがないと正直想像しづらいようなところに落とし穴があるのだなと実感した。

 

さらっと読みやすくて良い本だけど,入門書としては,おさらく参照すべき文献リストがまとめて表示されているべきだと思う。メインにすべきは,金融財政事情研究会「破産管財の手引き」(それと破産管財Basic及び破産管財Practice)だろうということはわかるけど,表題通り管財人向けの本のようなので申立代理人側として紐解くべき本は別に必要だろうし,そちらについては,何を見るべきか言及があったほうが良かったと思う。